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2023.12.13 INFORMATION

〈電音部〉カブキエリア『真新宿GR学園 -1st Anniversary Party-』ライブレポート

 

 

2023年11月25日、新宿BLAZEにて電音部カブキエリアの1周年記念イベント「真新宿GR学園 -1st Anniversary Party-」が開催された。

 

本格的なダンスミュージックを中心とした、音楽原作のキャラクタープロジェクト〈電音部〉。数々のエリアが登場する電音部全体のストーリーだが、そのなかでも悪役的な立ち位置を担うのが、今回のイベントの主役であるカブキエリアの真新宿GR学園だ。昨年12月に開催されたオールナイトイベント「GR Masquerade」以降、真新宿GR学園は独自の動きを見せながらも、その存在感を増してきた。今回のイベントは、その1周年を祝う記念のパーティーである。

 

カブキエリアの聖地とも言える、東京都歌舞伎町に位置する新宿BLAZEには、イベント開始前から多くの人が集まっていた。会場内に入ると、フロアはイベント開始の時点で、すでにぎっしりと人が入っており、このイベントを最初から楽しもうとする強いファンの思いが感じられる。

 

 

この日、イベントとしてのトップバッターを担っていたのは、DJのATSUKI。彼はカブキエリアの特色のひとつでもあるヒップホップを軸にした選曲で、初手からアンダーグラウンドの空気を醸し出していく。彼の鳴らす凶暴なビートは、獣のように容赦なくフロアに響き渡る。ATSUKIは、そこから徐々にボルテージを上げていき、リリースされたばかりの「KABUKI 03」や「禁言」のリミックスをフロアに投下。新宿BLAZEという会場を、一気にカブキの色に染め上げていった。

 

 

 

次にライヴアクトとして登場したのは、RINNEEE (吉田凜音)。真新宿GR学園の3人のソロアクトでは、それぞれの役としてではなく、個人の名義での出演となる。ベーシストとパーカッショニスト、そしてバックDJを従えて登場したRINNEEEは「盛り上がる準備はできますかー!?」と煽ると、バッチバチのラップをぶちかましていく。そのスキルの高さはまさに折り紙付き。また、この日驚かされたのは、ヴォーカリストとしての彼女の歌の凄みだ。華奢な体躯から放たれているとは思えないほど迫力のある歌声で、一気にフロアを制圧していた。後半RINNEEEは、観客をしゃがませてそこからジャンプさせるというパフォーマンスを魅せるなど、自分だけでなくその場の全員を巻き込んで、ライヴの楽しさを共有していく。そのステージングの強靭さには、貫禄すら感じるほど。最後はゲストとして登場したCharisma.comのいつかと共に、Charisma.comの楽曲「SUPER GIRL」を披露。いつかは、RINNEEEが演じる大神 纏の楽曲「神パラサイト」のリリックを担当した人物であり、この出演には強い縁がある。RINNEEEはいつかとふたりでフロアを熱狂させ、颯爽とステージを去った。

 

 

RINNEEEからのバトンを受け取り、次にステージに現れたのはDJのNUU$HI。初手から太いビートを鳴らしながらも、自由なスタイルでフロアを沸かす。ボーカロイド楽曲でシンガロングを起こしたかと思えば、観客を飛び跳ねさせたりと、縦横無尽なプレイに自然と胸が高まっていた。なかでもハイライトは、電音部ハラジュクエリアきってのキラー・チューン「Hyper Bass」のリミックス。地鳴りのような重低音を会場中に轟かせ、観客の脳へとコネクトしていく姿は、まるでグルーヴの怪物のようだった。

 

 

NUU$HIによる一体感のあるプレイのあとは、ライヴアクトとしてSONOTAがひとりで登場。MCバトルで培われた度胸とアグレッシヴなスタイルでフロアを煽り、自分の色に染め上げる。彼女はそれから、まるで青空の下で球技にでも興じたかのような爽やかな楽曲「甘ったるいサイダー」、自身が初めて作ったという切ない楽曲「monochrome」をパフォーマンス。安倍=シャクジ=摩耶を演じているときとは違う、素直な姿がそこにあった。さらに、SONOTAはこの日のために作った新曲をサプライズで披露。この新曲は、自らが演じる安倍=シャクジ=摩耶という人物を想って、SONOTA自身がトラックもリリックを書いた楽曲とのこと。ノンビートでのラップから始まった楽曲の披露に会場はどよめき、「ぶっ飛びな」という言葉を合図に完全にノックアウトされていた。SONOTAは最後まで、胸をグッと掴むようなパフォーマンスを見せ、感謝の言葉と共にステージをあとにした。

 

 

イベントはここから後半戦に入る。ステージには、DJのShogo Nomuraがスタンバイ。ヴォーカル曲を中心に、独自の世界を作り上げる。この日、彼のプレイのなかで印象的だったのは、ハラジュクエリアの犬吠埼紫杏のソロ曲「Tokyo Bug Night」のリミックスだ。まるで夜空を空中遊泳をしているかのような、キラキラとしたアレンジに観客皆が魅了されていく。Shogo Nomuraは、そこからさらに壮大で繊細な世界を作り上げ、夜明けを告げる朝露のような優しいビートをドロップ。かと思えば、「ハカハカイプリンセス」でフロアを破壊するかのごとくフロアを掻き回し、凄まじいプレイを展開していた。

 

 

ソロのライヴアクトとして最後に現れたのは、りるむ役のをとは。電音部のソロ曲においては、クレイジーな楽曲を任されることの多いりるむ。しかし、をとはとしてのスタイルはまさに、アイドルそのもの。コミカルかつキュートに、砂糖菓子のような甘い声で歌い上げ、客席を興奮の渦に巻き込んでいく。しかし、終盤、その印象はガラリと変わってくる。をとはが、りるむにモードチェンジしたのだ。そして歌われたのは、電音部ハラジュクエリアの桜乃美々兎が歌う楽曲「Do you Even DJ?」、そして「Do you Even DJ? 2nd」。なにを隠そう、彼女は「Do you Even DJ? 2nd」のジャケットデザインを手がけた人物であり、この曲を歌うのには大きな意味がある。完全にりるむと化したをとはは、その悪魔的な強烈な破壊力でフロアを圧倒していく。をとはは最後の曲にスペシャルゲストとして、RINNEEEとSONOTAを召喚。なんとシブヤエリアの楽曲「爆裂タウマゼイン」を3人でカバーしたのだ。客席にマイクを渡して歌わせるなど、カブキエリアならではのやんちゃなスタイルで、ステージを走り回る3人。バックDJとして出演していたNeco Hackerが常に飛び跳ねているところも含めて、をとはのライヴはかなり熱いステージだった。

 

 

DJアクトのラストはKOERUが登場。EDMを軸に、体内の興奮物質を直接刺激するようなベース・ミュージックをフロアに流し込む。高速BPMでハイカロリーな曲を次々とプレイしていくのだが、そのスタイルには一切容赦などなかった。しかし、彼による作品の垣根も越えた自由なパフォーマンスに、フロア全体のヴァイブスがだんだんとハッピーなものになっていく。彼は轟音とビートの応酬のなかで、幸せな空気を作り出すことに成功していた。

 

またこの日のイベントにおいて忘れてはならないのは、映像やレーザーを使ったビジュアル面での演出である。映像チームによる、まさに職人技とも言えるサイケデリックでダークな表現が、イメージを掻き立てる。フロアの観客が、ディープなカブキエリアの世界へとダイブすることができたのは、彼らの果たした役割もかなり大きかっただろう。

 

 

そしてお待ちかね。イベントのラストはカブキエリアの3人が揃い、真新宿GR学園としてのステージだ。真新宿GR学園の3人は新衣装である黒いパーカーに身を包んで、まずは「Anti」を初披露。間髪入れずに実写のMVをバックに「禁言」をパフォーマンス。そこにあったのは、1年という時を経て、ますますパワーアップした真新宿GR学園の姿だった。

 

そしてここからは、ソロ曲披露のコーナーへ。「残酷りむる」、「pHyCooo」、「KABUKI 03」とそれぞれの最新曲を立て続けに披露。ソロのライヴアクトの時とは全く違う豹変した3人の雰囲気に、かなり驚かされた。さらに、2週目からのソロ曲披露のコーナーはさらに一段ギアを上げ、カブキエリアきってのキラーチューンを連続でパフォーマンス。大神 纏役の吉田凜音がシブヤエリアの「CHAMPION GIRL」を乗っ取ったような楽曲「神パラサイト」を披露したかと思えば、りむる役のをとはが酒を煽る治安の悪いパーティー・チューン「焼ケ鮭」で、少し気の早い忘年会を開催。そして、ソロ曲ブロックの最後は、安倍=シャクジ=摩耶役のSONOTAが「狐憑キ」を熱唱。この日の「狐憑キ」は、本当になにかが憑いているかのごとく熱が入っており、いつもより凄みを増していた。真新宿GR学園はさらに3人で「Crush」、「Siren」をパフォーマンス。最後は、この日初お披露目となる新曲「AGARE!」をサプライズで披露し、熱い熱い3人のステージは終わりを迎えた。

 

 

真新宿GR学園は、オーディションでメンバーが決定し、集まった3人だ。アーティストとして育ってきた畑は全く違う彼女たちだが、この電音部という場所で出会い、ユニットとしての動くなかで抜群のチームワークを見せるまでになった。電音部はスタート当初から「新たなカルチャーとの遭遇体験」というテーマを掲げており、彼女たちの出会いもそのひとつだと言える。電音部は、いままさに新たなフェーズを迎え、その動きはまだまだ大きくなっていくだろう。しかし、このカブキエリア真新宿GR学園の存在は、これからの展開において、間違いなく大きな台風の目になる。そんな可能性を予感させ、「真新宿GR学園 -1st Anniversary Party-」は幕を閉じた。

 

取材&文:ニシダケン

撮影:エド ソウタ

 

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